眠れそうにないので更新してみます。

今回は物語と研究の話を少ししようかと思います。
物語と研究って言ってもメタヒストリーとかの小難しい話ではありません。
単純に私がどんな感じで研究を構成したり、読んだりしているかをちょっとお話する感じです。
取留めのない話ですが付き合ってくれる方はどうぞー

いきなりですけど、みなさんは物語というか小説とか書いたりした経験はありますか?
私はちょくちょくネタを思いついては、小話を書いてみたりするのが昔から好きです。
だから、表には出さないですけど、ジャンクな物語たちがたまっていきます。
表に出しもしないのに時間だけ使ってしまうので困ったものですw

さて、ここからが本題ですけど、物語の基本構造としてよく「起承転結」なるものが言われたりしますよね?
イメージわかないかもしれないので、とりあえず「起承転結」のwikipediaの説明を貼りつけておきます。

起 → 物語の導入部。その物語にはどんな登場人物がいるか、どんな世界・時代に住んでいるのか、登場人物同士の関係はどんなものか、なぜその物語は始まるのかなど、これから物語を読む上で必要な知識を紹介する部分。
承 → 「承」は「受ける」を表し、「起」で提起した事柄を受け、さらに進めて理解を促し、物語の導入である「起」から、物語の核となる「転」へつなぐ役目を果たす部分。ここは単純に「起」で紹介した物語を進めるだけで、次に続く「転回」または「展開」が誤解されることがないように備えておくものであまり大きな展開はないのが普通。
転 → 物語の核となる部分。「ヤマ」ともいわれる、物語の中で最も盛り上がりを見せる部分。物語の中でも最も大きな転機を見せる部分であり、読者が知らなかった事柄や想起を超える展開をすることによって関心や興味を引く部分となる。
結 → 「オチ」とも呼ばれる部分で、物語が進んだ結果、「転」での結末が最終的にどうなったのかを描いて物語を締めくくる部分。


起=導入、承=つなぎ、転=展開、結=結末くらいに考えてくれればいいと思います*1
結構この基本のプロットが大事だと今は思っています。
最初は勢いで書き始めたとしても、途中で構成を見直すときに使ったりします。
昔は勢いだけで書いてたものですがw
世の中に出回っている物語の大半がこの「起承転結」そのままだったり、ちょっと変形(起承転転結とか)を加えた形だったりします*2
広い意味を持つ4つの構成要素のみで説明しているので、当てはまるのは当然ですけどねw
自分の好きな小説とかでどこが「起」でどこが「承」でとか当てはめてみると面白いと思います。

分かりやすいようにこれをありきたりな恋愛ものの物語に当てはめてみると次のようになります。

起=主人公がパンをくわえた少女にぶつかる。実はその子は同じ学校の転校生。(出会いパート)
承=主人公とパン娘は仲良くなり、次第に惹かれ合います。(日常パート)
転=なにか事件が起こります。パン娘が病気になるとか事故に遭うとか。あるいは主人公の告白とか。(非日常パート)
結=ハッピーエンドにするかバッドエンドにするかはお好み次第。(エンド)

こんな感じです。
「起承転結」で考えると簡単な物語の基本構造は出来上がってしまいます。
でも、これに肉付けしていく作業がうまくできるかが重要だったりします。

まず「起」の部分は導入ですから、読み手を引き付けるようなインパクトを与える必要があります。
幼なじみに起こされるとか、パンをくわえた少女にぶつかるとかお決まりの展開だったとしても、そこに「面白さ」を加えれるかどうかは腕次第です。
少女の性格を奇抜にしてみるとか、幼なじみを男にしてみるとかいろいろ工夫は出来ると思います。
一番やりやすいのはお決まりの展開じゃなく、肝心な部分を隠したままで(伏線)山場的なシーンを持ってくることかと思います。
とにかく「起」は読み手をいかに引き入れるかということが大事。

次に「承」ですが、ここは「転」に移るための大事な部分です。
さきほどの恋愛ものの話でいくと、ここでパン娘の基本情報、あるいは他の登場人物の情報を出していきます。
例えば、パン娘の性格であるとか、好みであるとか、家族構成であるとか…
物語を理解するための下地を作る部分です。
こう言ってしまうと「承」は他のパートよりも簡単そうに思えてしまいますが、実は一番難しいのではないかと思います。
恋愛もので説明するとここは日常パートです。
「転」の非日常パートを際だたせるためには、ここで日常をしっかり描ききらないといけません。
例えば「転」をパン娘が事故にあって昏睡状態になるという展開にするとします。
主人公はいつも屋上で一緒に昼ごはんを食べたり、休日にデートしたりした大好きなパン娘が事故にあったことを知り、ショックを受け立ち直れないような展開になるかもしれません。

しかし、もし「承」で日常パートを描ききっていなかったらどうなるでしょう。
ただ一、二回昼ごはんを一緒に食べたくらいしか描いてなかったとしたら、主人公がショックを受ける展開にしたとしても読者側にインパクトは伝わりません。
「はぁ、この主人公なんでヘコんでるの??」
ってなってしまいます。
つまり「承」は「転」でのインパクトを引き出すための大事な部分なのです。
日常があるからこその非日常なのですから。
私自身は「起」や「転」部分が先行しがちで、「承」部分が苦手です。
だからこそ、意識的に「承」部分を大事にしています。

次は物語の核となる部分「転」です。
ここは作者にとって一番気合の入る部分でしょうし、読者も伏線の回収でワクテカする部分でしょう。
先程も書きましたが、私はここの部分が先行することが多いです。
ぼんやりとした状態の「転」の部分のアイディアが浮かんでから、物語を広げていく感じです。
このパートは物語の全体の中核となる部分ですから、読者に予想も出来ない展開でいかに引き込むかがポイントになります。これもなかなか難しいですね…
さきほどの恋愛ものだと、パン娘が昏睡状態になるとして、いきなり謎の少女がでてきて「この子は時の狭間で魔物に囚われてるの」的な電波なことを言い、それを馬鹿正直に信じた主人公はパン娘を救うために彼女の夢のなかに行き魔物と戦闘を繰り広げるのですが、実は主人公は未知なる力を持っていて額に隠された瞳が開くとエターナルフォースブリザードが使えるようになるとかいうご都合主義な裏設定があり、魔物を追い詰めるのですがそこで魔物が「ははは、わたしはまだ60%の力しか出してない」とか言い出して、段階的に隠していた実力を見せていき、主人公大ピンチな展開に!って思ったら、謎の少女が「わたしの力を貸すわ!」とか言いながらしゃしゃり出てきて、いきなり巨大ロボに変化して、主人公がそれに乗り込んで魔物をフルボッコにするとかしないとか…ハァハァ。
このくらい転がすとインパクトはある…かな、多分w

最後は「結」です。
もちろん物語の締めのことです。
ここの締め方によって物語の印象はガラッと変わります。
先程の恋愛ものでいけば、パン娘が事故にあって昏睡状態→覚醒ならばハッピーエンドな展開でしょう。
逆に昏睡状態→死亡ならバッドエンドです。
間をとって昏睡状態→回復するも記憶喪失なんていうのもよくある展開です。
どの締めを選ぶかは作者の好みです。
これまでの展開で読者を引き込めたなら、ハッピーエンドで読者はホッとすることでしょうし、バッドエンドなら「なんでやねん!」ってなることでしょう。
「結」は作品の印象を決める大事な部分ですが、結局はここまでの展開で読者を引き込めるかが大事なわけです。

以上が「起承転結」の簡単な説明です。
「どこが研究と関係しているんだ(゚Д゚)ゴルァ!!」ってツッコミが入りそうですねw
つまり、こんな感じで研究も見ていたりするというだけの話です。
これだけだと意味が分からないかもしれないので、「起承転結」に当てはめます。

起=問題提起
承=基本情報、コンテクスト
転=メイン事例の考察、解釈
結=結論

こんな感じです。
研究によっては「承」部分が長くなったり、「転」が複数あったりするでしょうが、基本この構成で考えてます*3
こんな感じで見ているせいもあって、例えば「起」の部分でパン娘的な何かが出てこないと違和感を感じます。
「パン娘スルーですか!」って感じでw
パン娘がせっかくパンをくわえて走ってきているのに、ぶつかってあげないのは可哀想だと思うわけです。

あと、パン娘とぶつかったのに、その後の展開でパン娘が全く出てこないとやはり違和感を感じてしまいます。
「パン娘空気ですか!」って感じですねw
せっかく登場させたのだから少しくらい活躍させてくださいと思ったりするわけです。

「承」が「転」を際立たせるために大事というのも物語と研究で同じですね。
もちろん、こうした基本プロットを崩すようなアクロバティックな構成もありだと思いますけどねー

ちょっと大袈裟ですけど、「起起起起起起起」とか「承承承承承承承」とかいう研究を見ると私の脳は悲鳴を上げます。
物語の解体です。クラッシュです。
多分、私の思考は物凄く単純に出来ているのです。
だから、単純な構成でしか把握出来ないのかもしれませんね。
たまにはみなさんもこうした基本構造で物語や研究を見てみると面白いですよー
ではでは、今回はこんなところでノシ

*1:必ずしも時系列順ではありません、一応

*2:もちろん物語の細部はもっと複雑です。起承転結の中にさらに小さな起承転結が入ったり、バラバラにした上で組みなおしてたり様々です。あくまで起承転結は一番シンプルにした骨組みと考えてください。シンプルすぎるので物語を最初に書き上げる時よりも見直すとき、あるいは他の人の文章を読むときの方が便利なのかもしれません。そういう意味では「読み」のためのものなのかもしれませんね。

*3:ここで言う研究はあくまで私の専門の話です。人文系なら当てはまるのではないかと思います。